賃貸借契約について

息子がアパートを借りることになり、親である私が連帯保証人になるのですが、媒介(仲介)業者から「連帯保証人の印鑑証明と収入証明を出してほしい」と言われました。応じなければいけないものでしょうか。

大家さんや媒介業者としては、連帯保証人の本人確認や、万一家賃を滞納した場合などに支払能力があるかどうかを確認するために、このような要求をする場合もあります。原本を渡してしまうのは不安であるなら、「見せるだけにしてほしい」「原本確認後コピーをとり原本は返してほしい」のように交渉してみてはどうでしょうか。

賃貸住宅に入居するので、連帯保証人を立てましたが、家賃保証にも加入するように言われ、保証会社に保証料を支払いました。不当ではないのでしょうか。

賃貸借契約において借主が家賃を滞納した場合など、その家賃の支払義務等借主の債務を連帯して負担するため、連帯保証人を立てることが行われています。ご質問ではさらに、保証会社との保証契約を要請されたとのことですが、そのこと自体が不当であるとは言えないと思います。   最近ではなかなか連帯保証人を立てることが難しく、これに代えて保証契約を結ぶ例もあります。貸主としては重ねて家賃保証等を確実にしようとする手法かもしれませんが、もう一度保証契約の必要性について貸主や媒介業者とよく話し、保証会社にも説明を聞いて保証人との違いなどを再確認されてはいかがでしょうか。その上で金額も含め納得ができなければ、保証契約の解約も考えられます。ただし、その場合は賃貸借契約自体も不成立に終わることも予想されますのでよく話し合ってください。

賃貸借契約の連帯保証人になってほしいと頼まれましたが、賃貸借契約の連帯保証人の義務はどこまでなのでしょうか。

連帯保証人は賃借人の債務の履行を保証することになりますので、賃借人が賃貸人に債務の履行をしない場合に賃借人に代わってその債務を履行しなければならない義務を負います。賃借人の負っている債務は①賃料の支払、②賃貸借契約が終了した場合の原状回復費用の支払、③賃貸借契約が終了した場合の明渡し不履行の損害金の支払、④目的物(家・部屋)を損壊した場合の補修費用の支払等があります。   なお、「連帯保証」は普通の保証と違い、催告の抗弁権や検索の抗弁権はなく、債権者から請求があれば、直ちに弁済の責任を負うことになります。連帯保証人の義務を十分に確認したうえで保証契約を結んでください。

アパートの賃貸契約を締結しようとしたところ、契約書の中に「賠償責任保険に加入しなければならない」と記載されており、加入が義務付けされています。この場合は保険に加入しなければならないでしょうか。また、加入するとして、給与天引きで割引できる勤務先の保険に入りたいのですが、媒介業者の勧める保険でなくてはならないのでしょうか。

契約書で借家人賠償保険などの加入が義務付けられている場合は、加入義務があります。しかし、加入義務がある場合でも、貸主または仲介業者が勧める保険に加入する義務まではありませんので、勤務先の保険会社で加入することはできます。また、借主の家財に対する保険は、貸主とは無関係なものですので加入義務はありません。  
保険には、
①家財道具の損失を保障することが主たる目的の保険
②家主に対して法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険、家主との契約に基づいて負担する小修理費用を一定限度で支払う保険
③他人の物に損害を与え法律上の賠償責任を負った場合に一定額の保険が支払われる保険
など、各保険会社の保険の種類によって保険の内容は異なりますので、契約する保険の内容を必ず確認することが必要です。   なお、保険の期間が残っている場合、次のアパートで残存期間前の保険の適用が受けられる場合もあります。保険証書等書類は大事に保管しておきましょう。

東京の大学の入学が決まり、住居を探していましたがやっと気に入った物件が決まりました。不動産会社に申込書を提出し、契約日を決め田舎に帰ったところ、審査で落ち契約ができないとの連絡を受けました。申込書提出時に媒介業者は、問題はないと言っていました。賃貸借契約は諾成契約ですから契約は成立しているのではないですか。

確かに、契約は当事者双方の合意により成立し、契約書が締結されたことが契約成立の要件とはなっていません。入居審査の結果によっては契約できない旨の説明が無かったとすれば説明不足とは思いますが、実務上は、後日のトラブルを防ぐために、原則、契約書の締結が行われたことをもって「契約が成立した」と取り扱われています。

建物賃貸契約を不動産屋さんの媒介で1か月前に行いました、契約の際に女性の1人暮らしなのでセキュリティについて確認したところ、問題ありませんとのことでしたが、入居してから1週間後に泥棒に入られました。隣の部屋の人に聞くと、借りた部屋はここ1年間に3度も泥棒に入られ新聞にも出ていたそうです、嫌気がさしたのか前の住人は出て行ったそうです。その媒介業者さんは私の契約をやっていただいた会社だそうです。また、泥棒に入られるのではないかと不安で一杯です、入居時の説明と大違いです。説明義務はないのですか。

契約の判断に重要な影響を及ぼすその他の事項も「重要な事項」として説明することが必要です。過去に泥棒に入られたことが、直ちに説明が必要な「重要な事項」とはならないと思われますが、本件のように、借主からセキュリティについて心配があり質問があったような場合は、媒介業者はそれについて説明する義務があるといえます。

マンションの大家なのですが、媒介(仲介)業者が契約時に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の写しを借主に交付しています。自分はガイドラインの考え方の一部に納得できないところがあるので、それをやめてほしいのですが、そうすると仲介をしないといわれました。どうすればよいのでしょうか

原状回復について、借主に特別な負担を課すような特約を設ける場合には、その旨を明確に契約書面に定めたうえで、借主の十分な認識と了解をもって契約することが必要です。その不備でトラブルとなることが多いことから、媒介業者はトラブル予防のためにガイドラインの写しを交付しているのだと思われます。相談者は東京都以外でマンションを貸しておられるようですが、もし東京都内の物件だった場合、媒介業者には条例による説明の責務があります。

気に入った物件があったので賃貸を検討していますが、現在の自宅から媒介(仲介)業者や物件が遠距離のため、 出向く時間が取れません。重要事項説明書を郵送でやり取りしてはいけないのでしょうか。

宅建業者が宅地・建物の取引を行う場合には、宅地建物取引主任者をして、取引主任者証を提示させ、 重要事項説明書およびその添付資料により取引の相手方に説明すること等が義務づけられています(宅建業法35条1項、2項)。   宅地・建物の取得、賃貸は価格も高額となることもあり、失敗は許されませんから、遠距離であっても、宅建業者と会って説明を受けた上で、 契約を締結してください。

宅地建物取引主任者って誰のことですか?

宅地建物取引主任者とは、宅地建物取引主任者試験に合格し、都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引主任者証の交付を受けた者のことをいいます。通常は縮めて「宅建主任者」、「主任者」などと呼びます。  宅地建物取引主任者は、取引の当事者に対する重要事項の説明、重要事項説明書や宅建業法37条の規定に基づく書面(契約書)の内容確認と記名押印の事務を行うことができるとされています。

「ジュウセツ:重説」という言葉を宅建業者さんから聞きましたがどういう意味ですか?

宅建業者は、宅地・建物の売買・交換・賃貸等の相手方等、取引の当事者に対して、契約が成立するまでの間に、取引をしようとしている物件や取引条件など一定の重要な事項について、それらを記載した書面を交付し、取引主任者をして説明させなければなりません(宅建業法35条1項、2項)。この重要事項の説明やそれを記載した書面(重要事項説明書)のことを略して「重説」と言うことがあります。

賃貸物件のことなら何でもお気軽にご相談ください。