立退料について

事情があり、どうしても借家を明け渡してもらいたいのですが、先日借家人の転居先も見つかり、立退料の額について合意に達すれば立ち退いてもよいと言ってくれています。 そこで質問ですが、立退料の算出について合理的な手法があれば教えて下さい。 それと旧借地借家法と考え方の違いがあれば教えて下さい。

平成4年8月1日施行された新しい借地借家法において、明け渡しを求める際の正当事由の判断について、立退料の申し出も考慮することが明文化されました。  正当事由が不足すると思われる場合、立退料の提供をしたり不足分をカバーするという今までの慣行を明文化しただけで、新たに立退料を容認する制度ができたわけではありません。ですから新旧で実質的な変更はありません。

次に借家の立退料の算定をする場合の手法ですが、次のような費用が考慮されます。  
1. 移転費用(引っ越し費用、設備などの移設費用、移転通知費用などです)。
2. 造作買い取り費用(借家人が家主の承諾を得て行った建具などの造作を引き取る費用です)。
3. 借家権価格(借家権の経済的利益を算出し、土地や建物価格に一定割合の借家権割合を乗じて算出します)。
4. 営業補償金(借家人が何か商売をしていた場合、移転することに伴い生じる損失の補償です)。

立退料は具体的なケースに応じて総合的に判断されるものです。  画一的に決まるものではなく明確な方程式があるわけではないことに注意して下さい。

家賃滞納はしていませんが、大家さんから3月中旬の契約満了時に出て行って欲しいといわれました。大家さんの姪が大学入学で田舎から上京し、このアパートだと通学に便利だし、親も安心だそうです。こんな場合は立退料がもらえると聞きました。どのくらいもらえるのでしょうか。家賃は月7万円と周辺に比べ安めで、近くの少し広くて新しい部屋だと月10万円くらいです。

貸主が借家契約についての更新の拒絶または解約の申入れをする場合の借地借家法の考え方は「賃貸人が建物の使用を必要とする事情」と「賃借人が建物の使用を必要とする事情」となります。各事例ごとの程度も正当事由の有無の判断基準の1つですが、本件の貸主の事情だけで正当事由があると認められるとは思えません。立退料の額等の基準はありませんので、引越費用や家賃の差額等について、大家さんと交渉してみてはどうでしょうか。

アパートが老朽化して取り壊すことになりました。今の家賃は月3万円で、近くの月4万円くらいのアパートに引っ越すつもりなのですが、貸主の都合で契約を解除するのだから立退料をもらえるでしょうか。

借地借家法は、貸主が借家契約についての更新の拒絶または解約の申入れをする場合には、正当事由が必要であると定め、その正当事由の有無は、さまざまな状況を総合考慮して判断されます。いわゆる「立退料」は、正当事由がかけている場合に補完的に考慮されるものです(借地借家法28条)。   「建物の現況(建物の老朽化等)」も判断基準の1つですが、建物の老朽化の程度が著しく、客観的に判断してそのまま賃貸しておくと倒壊等により借主の身体・生命の危険が高いと判定されるような場合は、正当事由が認定されると思われます。財産的給付(立退料)がなくとも、貸主に契約の更新等を拒絶する正当事由があると裁判所が認めた場合は、立退料は支払われないことになります。

 

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