内金・手付金・申込金等の返還について

アパートを借りるため何軒かの不動産業者を訪ねました。 ある店の物件が気に入りましたので、その旨を告げたところ「この物件は人気物件だから急がないと他の借り手がすぐ決まってしまう。 物件を押さえるためには家賃の1か月分を差し入れてくれ」と言われました。そこであまり考えずに言われるとおりにしましたが、後でよく考えると日当たりが悪く広さのわりに案外割高だと感じましたので、次の日に「借りるのは止めたので支払った金銭を返して欲しい」と言いましたら、業者は「既に家主に連絡の上、契約を了解してもらっており契約は成立している。 金銭は手付金であるので返還できない」と言われました。こんなことってあるのでしょうか?

ご質問のケースでは、物件が気に入ったものの、確定的に借りたいと言ったわけではないし、業者自身も手付金ではなく物件を押さえる目的で受け取っていますので、民法でいうところの契約の申し込みがあったと見るのは難しいと思います。 また、家主も相談者の家賃支払い能力や保証人について何も調べていない段階で承諾したと言うのはかなり無理があるのではないでしょうか。ですから契約が成立しているとは考えにくいと思います。   家主としては手付金を収受する権利はありませんし、業者も家主に今回の金銭を渡すべきでなかったと考えられます。   また、仮に業者が主張しているように「賃貸借契約」が成立しているとすると、業者は重要事項の説明をしておらず、また同説明書を交付していないことになり、宅地建物取引業法違反を問われるおそれがあります。  以上のことを念頭において、もう一度業者と話し合って見て下さい。

今度1人暮らしを始めようと思い、気に入ったアパートが見つかり来週契約することにしました。詳しい説明は受けていませんが、不動産屋から事前に敷金等を振込むように言われて振込みました。しかし、親が急に入院することになり、不動産屋に契約できないと連絡したら「違約金として家賃の1か月分を差し引きます」と言われました。違約金は払わなければならないものでしょうか。

契約が成立しているかどうかで、返還される金額は変わってきます。重要事項説明も受けて、借主が契約書に押印し、貸主も契約締結を承諾している状況で、敷金等を振込んでいれば、契約は成立していると思われます。その場合には、契約に従い、敷金等の清算が行われます。ご相談の内容ですと、重要事項説明も未実施であり、契約締結前の申込みの段階と考えられます。宅建業法では、宅建業者は取引の相手方が申込みの撤回を行った場合は、受領した預り金を返還しなければならないと規定しています(宅建業法47条の2第3項)ので、今回のように申込みの段階であれば自己都合で撤回しても、違約金は発生しませんし、不動産業者は、預かった敷金等を全額返還する必要があります。

アパートの賃貸借契約を結び、まず内金として5万円を支払い、そのあと前家賃・敷金・礼金等で25万円、計30万円を貸主に支払いました。設備等で壊れている箇所を入居前に修繕する約束になっていますが、やってくれません。契約を解除するつもりです。支払金30万円は全額返してもらえるのでしょうか。

入居前に賃貸物件の不具合箇所を修繕して引き渡すことを約束して、賃貸借契約を締結したにもかかわらず、貸主が修繕をしないことは、賃貸借契約に基づく責務不履行といえます。したがって、約束した期日までに修繕工事が行われず、借主が入居できず契約の目的を達成することができないのであれば、契約を解除することができ、30万円の返還は当然のこと、それにより損害を被ったのであればその損害についても損害賠償請求することが可能といえます

不動産の契約では、売主側から解約する時には買主の入れた手付けを倍返しと聞きます。私は家賃月10万円のマンションを借りるにあたり、5万円を手付けとして支払い賃貸借契約を締結しました。貸主が貸さないことにしたとして5万円返してきました。10万円ではないのでしょうか。

不動産売買においては手付金が授受されて契約が締結されることが一般的ですが、居住用の賃貸借では、手付金が授受されて契約を締結することは少なく、契約の前に物件を押さえておくなどの目的で、「申込金等」が授受されています。   「手付金」と「申込金」とでは、法的性格がまったく異なります。ご質問のように、手付金が授受されて賃貸借契約が締結されたのであれば、借主が「履行に着手」するまでは、貸主は受領した手付金の倍額を支払って契約を解除することができます。手付金が5万円ですから、手付解除するのであれば、貸主は10万円を支払う必要があります。

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